テーマ「法人運営の現状と課題〜事業展開における県政への期待〜」
○リスクの高い事業への取り組み -地域生活定着支援センターの設立-
社会福祉法人オリーブの樹 理事長 加藤 裕二 氏
「新しい福祉の仕事の開拓に努める」という法人理念の下、多くの障害者支援事業を手がけてきた。今回ある利用者との関わりをきっかけに触法障害者が制度・福祉から置き去りにされている事実を目の当たりにし、行政と協力して地域生活定着支援センターを設置するに至った。 リスクの高い事業であってもそれを自ら担っていくことが社会福祉法人・行政の使命である。行政にも更なる支援をお願いしたい。
○法人運営の現況と課題 〜事業展開における県政への期待〜
社会福祉法人九十九里ホーム サービス管理責任者 宇津木 文雄 氏
当施設では障害者の生き方について、より一層のサービスの質の向上、多様な自立度の利用者に対して個別のニーズに応じた対応、様々なニーズに応えるための地域の社会資源との連携、この三点を重点項目として位置づけ、運営している。 行政には、介護保険優先の原則により振り回されてしまう利用者への配慮、人員配置を厚くしてサービスの質の向上を図る為の補助金等の増額、過疎地域の社会資源整備などを要望したい。
○法人運営の現状と課題 〜事業展開における県政への期待〜
社会福祉法人翠燿会 常務理事 津川 康二 氏
今後の高齢者福祉を見据えたときに、地域包括ケアシステムが主軸となっていくと考える。高齢者が要介護状態になっても地域に住み続ける為に、小規模多機能型居宅介護等の地域密着型サービスは必須である。また、ご家族の介護への参画や、利用者に寄り添いたい介護職員がケアの質を高めていくことが出来るという付加価値もある。 今後このような地域密着型サービスをより機能させていく為の課題としては、入所型施設との連携、24時間対応訪問介護や在宅医療の充実は必須、それらに加えて報酬の見直し等の必要性を感じる。
○法人運営の現状と課題
社会福祉法人豊島福祉会 理事長 椎名 英夫 氏
昨今の保育を取り巻く環境については、子ども・子育て新システムが構築されつつあり、保育に関わる予算の一般財源化、幼保一体化が今後起こるであろう大きな変革の時を迎えていると言える。この先において本格化していく少子化、目前に迫っている保育士不足の問題についても、市町村丸投げでなく県主導の体制確保を望んでいる。
テーマ「制度改革の動向における今後の社会福祉法人のあり方」
講師:元厚生労働省参事官(社会保障担当)元内閣官房・内閣審議官
神奈川保健福祉大学保健福祉学部社会福祉学科 教授 河 幹夫 氏
○社会福祉法人への期待 -「新しい公共」を巡って-
社会福祉は「人間の尊厳」を支える社会システムであり、同時に社会サービス給付という形態での社会保障である。 社会サービス給付とは、舞台に例えることができる。舞台装置の役割を担う“制度“、舞台の上で行われていることを”実践“(サービスの提供)と位置づけるとイメージし易いのではないだろうか。 また、社会サービスの特性として、貯蔵が出来ないこと・移動が困難なことの2点が挙げられる。移動して貯蔵する保存方法が不可能な故に、社会サービス(福祉サービス)の効率化を考えたとき、近くに提供すること、すなわち“地域福祉”の実践が重要となる。 社会福祉の実践者である社会福祉法人が、公でも私でもない「新しい公共」として“より良きもの”を提供していかなければならない。そのために、地域福祉を念頭に置いた法人理念と、社会福祉法人の中でのヒューマンサービスの実践者である職員の育成が必要である。