全国社会福祉法人経営青年会
第21回社会福祉法人経営青年会全国大会

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全国社会福祉法人経営青年会
第21回社会福祉法人経営青年会全国大会

期日:平成29年10月19日(木)~20日(金)
会場:徳島グランヴィリオホテル
基調報告:『次代の福祉実践者の役割とは』
     全国社会福祉法人経営青年会 会長 塘林 敬規氏
行政説明:『地域共生社会の進展と社会福祉法人の存在
     ~「我が事・丸ごと」と、みんなの「生きると~』
     厚生労働省 社会・援護局 福祉基盤課長 石垣 健彦氏
記念講演:『つながること』
     アーティスト 野老(ところ) 朝雄氏
講演Ⅰ:『映画を通して、地方を考える』
     映画監督 蔦 哲一朗氏
情報交換会

今年度の第21回社会福祉法人経営青年会全国大会は、「ふくし×クリエイト~その先を見据えて」のテーマのもと、映像関係やアーティスト、お笑いなどさまざまな分野の先駆者が抱く「未来への志」を体感することで、私たちが未来の地域社会においてどのような役割を担っていくべきかについて考えることを目的として、阿波徳島の地で開催されることとなりました。

基調報告:『次代の福祉実践者の役割とは』

 初めに全国社会福祉法人経営青年会会長である塘林敬規氏より「次代の福祉実践者の役割とは」とのテーマで基調報告が行われました。地域共生社会実現に向けた改革の骨子として、地域課題の解決力の強化・地域を基盤とする包括的支援の強化・地域丸ごとの繋がりの強化・専門人材の機能強化と最大活用の4点を挙げられ、地域づくりについてはNPO法人だけが取り沙汰される場面が多いが、社会福祉法人が率先して地域で実践を重ね地域共生社会のイニシアチブを取って行くことが必要であると述べられました。地域における公益的な取組のポイントして、地域のニーズをキャッチするための窓口の設置やこちらから働き掛けるアウトリーチの強化・本来事業による専門性や既存の経営資源を活用し出来ることから着実に取り組む・地域住民や関係機関との連携を意識し協働して課題解決に取り組むなどの点を挙げられ、堅実・地道に取りくむ形となるので短期的には効果が見えづらいかもしれないが、続けることで地域からの信頼を得られ、ゆくゆくは地域に無くてはならない存在となる方法であると感じました。また全国経営青年会の平成29年度のスローガンとして3C(トリプルシー)を掲げています。これはCHANGE(チェンジ:変化) CHANCE(チャンス:好機) CHALLENGE(チャレンジ:挑戦)の頭文字をとり、「変化を恐れず、改革を好機ととらえ、挑戦し続ける」という全国経営青年会に対して求められている精神を表したフレーズです。

行政説明:『地域共生社会の進展と社会福祉法人の存在
~「我が事・丸ごと」と、みんなの「生きると~』


 続いて、厚生労働省社会・援護局福祉基盤課長である石垣健彦氏より、地域共生社会の進展と社会福祉法人の存在というテーマで説明が行われました。福祉ニーズの多様化により、高齢者・障碍者・児童の各分野の複合的な課題を有する場合や各分野の横断的な対応に向き合わなければならないことが課題とされていますが、それについては①新しい地域包括支援体制として、それぞれを包括的な相談から支援調整の組み立てや資源開発を行うことが求められます。それを行う支援体制を支える環境の整備として②総合的な人材の育成・確保が必要とされています。具体的には①を可能とするコーディネート人材の育成や福祉分野の横断的な研修の実施・人材の移動促進などです。これらは、高齢化の中で人口減少が進行するという問題についての対応策でもあります。人口減少=労働人口の減少と捉えた場合、③効果的・効率的なサービス提供の為の生産性向上が求められます。具体案として、先進的な技術等を用いたサービス提供手法の効率化や業務の流れの見直しなど効率的なサービスの促進・人材の機能分化など良質で効果的なサービスの促進等が挙げられます。それらを活用しつつ④高齢・障碍・児童等への総合的な支援(多世代交流・多機能型の福祉拠点の整備など)の提供を進めて行くということが、今後求められていきます。これら地域住民の参画と協働により、誰もが支え合う共生社会の実現を「我が事・丸ごと」という言葉に地域福祉推進の理念が込められていることが伝わってきました。

記念講演:『つながること』

 記念講演として、アーティスト野老朝雄氏より「つながること」というテーマでお話しがありました。野老氏は東京2020オリンピック・パラリンピックのエンブレムをデザインされたことで有名ですが、デザインの過程を説明頂きながら、野老氏のデザインに対する想いを説明して頂きました。採用されたエンブレムデザインは3つの異なる四角形が角同士で繋がっています。それらを複数組み合わせ、また時には図柄を反転するなどして何万通りもあるパターンの中からデザインは完成されます。異なる四角形には多様性という意味が込められています。少しずつ組み合わせの異なる四角形が、互いに繋がり互いに支え合いながら一つの図案を形成しており、それは四角形を人に置き換えることで野老氏がオリンピック・パラリンピックに込めたメッセージとして読み取ることができます。オリンピックとパラリンピックのエンブレムは同じ形・同じ数で作られています。それには全てが平等であるということを表しており、スポーツに感動することは世界中の人が共通・平等であるということを伝えたいのだと理解しました。野老氏は2001年9月11日のNYテロ事件をきっかけに創作を始め、何かしなければ・何が出来るのかという気持ちのなかで、いがみ合う両陣営に割って入るのではなく「繋げる」ということに想いをおいて活動に取り組んでいるとの事です。人と人との繋がり関わりは私共の仕事では切り離せないことですが、一見、縁遠いと思われるデザインの仕事でも、作品や活動のテーマとして「繋がる」という意味に重きを置いて活動されている野老氏のデザインをみて、受け取り側が意味を感じてもらえるとしたら、それも広い意味での福祉活動に当たるのではないかと思いました。

講演Ⅰ:『映画を通して、地方を考える』

 初日の講義として、映画監督である蔦哲一朗氏より「映画を通して、地方を考える」という内容で講演がありました。蔦氏は祖父に徳島県池田高校野球部の元監督である蔦文也氏をお持ちでいらっしゃることがクローズアップされがちですが、東京国際映画祭を始めとした多くの映画祭に出品され受賞歴もある方です。講演では短編作品「林こずえの業」という林業がテーマの作品を鑑賞した後、徳島の地域産業についての話を伺いました。この作品を鑑賞するまで、林業という仕事を漠然とした形でしかイメージすることが出来ませんでしたが、伐採・製材・加工・植樹という林業の一連の流れが映像のみで無駄なく観客に伝わる素晴らしい作品でした。福祉職場に人材が集まらないことが社会的に発信されることが増えていますが、林業も3K職場といわれ、なり手は減っていることが作品から伝わります。しかし重機や電気機器の導入により、女性でも働き易くなっている業界であることが作品を通して初めて知ることが出来ました。逆にこの様な作品に触れる機会がなければ他業種で起こっているイノベーションを知ることもなかったであろう事を考えると、福祉現場からの情報発信のあり方にも方法として参考にできるのではないかと感じました。また、間伐材の一次加工を地元の社会福祉法人の障害者・年配者が請け負い、製品を民間企業が制作するという流れが紹介されていました。取組んでいる株式会社ビッグウィルでは、天然木を極薄のシートに加工する特許を取得し壁紙とする製品だけではなく、社会福祉法人と連携をとり木材を無駄にすることなく割り箸等に加工するという点について、「雇用を生む事で地域を守る」という考えを伝えられていました。蔦氏のもう一つの取組報告として、地元の活用されていない資源に着目し、加工して特産品として流通させるという事業についての説明がありました。地元の害獣として駆除されていた鹿が現在は食肉として活用されていること、しかしその皮は廃棄されているため何か活用の方法はないか模索しているとの事でした。そこで現在では日本で徳島県でしか生産を行っていない藍を使い、京都の工房の協力の元、鞣した革に藍で蝋纈染を行い製品を制作するという、地元の素材のみを使用した革製品のブランド「DIYA」を立ち上げたとのことです。資金の調達にはクラウドファウンディングを活用し、製品化の経緯やコンセプトを支援者に伝えることで作り手と支え手が想いを共有した事業としていけるという部分がとても魅力的であると感じました。現代では、誰かが提案した面白い取組が、インターネットを経由して世界中から支援が可能な世の中となりました。社会福祉法人も地元および事業によっては地元を飛び越えて色々な分野の業界と繋がり発展できる可能性があることを考えさせて頂いた講演となりました。


研修を振り返り、地域社会への公益的な取組も個の力では形にすることが難しくても、志を共にする協力者がいることで何倍も実現へのスピードは速まると感じました。全国経営協青年部でも平成32年度までに会員数3,000名を実現するという大きな目標を掲げており、本大会に参加された様な意欲・知識・行動力のある方々が全国で増え共に力を出し合っていくということは今後の社会福祉法人の継続に必要な大きな要素であると思います。本大会を企画運営していただいた実行委員の皆さま・徳島県のご関係者様、ありがとうございました。

社会福祉法人 康和会
宍倉 健史

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