第22回社会福祉法人経営青年会全国大会のテーマとして、「先達の想いを継承し、さらに新しい道を創造する」。真に地域で必要とされる法人経営に向けて、多くの講義をいただいた
●行政報告「地域共生社会の実現に向けて」
地域共生社会の実現に向け社会福祉法人が果たすべき役割について、少子高齢社会の進展・人口減少社会の到来、経済的な困窮、暮らしや働き方に関する価値観の多様化等が挙げられた。地域における生活・福祉課題が多様化し、既存の制度では対応しきれない「制度のはざま」の課題が増加しており、社会福祉法人として「我が事」と捉え、「丸ごと」地域づくりに関わる活動へ転換する必要を感じた。
また、地域共生社会の目指す方向と、社会福祉法人が制度上期待される役割には、重なり合う部分があり、多くの専門性とネットワークを持つ社会福祉法人は、施設単位で活動するのではなく、法人組織としての総合性を発揮することが、今後、より重要になってくる。
●講義Ⅰ:「京都花街の経営学~伝統産業に学ぶ人材育成と事業継承~」
伝統産業として京都の名物といえる花街だが、地元京都出身の舞子・芸子はほとんどいないという。全国各地からの希望者を一流の舞子へと育成するのだが、その構築されたシステムは、新人舞子にとって育成過程が明確な為、目標が分かりやすいということがあげられた。この期間でここまでの上達を目指す。その為に母や姉さんと呼ばれる育成担当者と生活を共にするという、育てられる人も、育てる人も成長する仕組みづくりには共感を覚えた。
●講義Ⅱ:「伝統を受け継ぎ、革新に挑む」
伝統を受け継ぎつつ、変化させていくという点について、佐々木晃氏は、父から「おまえは好きなことしていい」と言われ、その言葉があったから新しいことに挑戦できたというフレーズが耳に残った。
25歳のとき産業機械販売会社を退職し、佐々木酒造に入社した。しかし、昭和40年代後半から続く日本酒の消費量低迷期に、次々に酒蔵が廃業していく中で、業界に対する不安があったという。そこで、前職の経験を生かして営業に走り回り、業績も回復したという。その後、ノンアルコールの醸造飲料「白い銀明水」を製造、京都市内の企業と共同でオリジナルの日本酒や和菓子とのタイアップをするなどの変化を遂げた。
父からの言葉で、伝統産業を受け継ぎながら変えていくことを、どのように実現していくかということを考えさせられる内容であった。
2日間を振り返り、今後、社会福祉法人が求められる役割を果たしていくためには、福祉関係者はもちろん、地域全体の共通理解・協力を得ることが何より肝心だと思いました。
最後になりますが、本大会を企画運営していただいた実行委員の皆様、開催県であります京都府青年会役員のご関係者様、本当にありがとうございました。
社会福祉法人長須賀保育園
中野 博之