研修報告

令和元年度 関東甲信越静ブロック
社会福祉法人経営青年会 総会・研修会

継往開来(けいおうかいらい)
~先人の事業を受け継ぎ、発展させながら未来を切り開こう!~

【期日】令和2年2月13日(木)~14日(金)
【場所】ホテルブリランテ武蔵野

【講演1】

「福祉業界 人材採用のブランディング」

株式会社リクルートキャリア
HELPMAN JAPAN 事業推進ユニット
坂本 宗庸 氏

㈱リクルートキャリアが取り組まれている「HELPMAN JAPAN」プロジェクト概要説明の後に我々福祉業界に関わらず、各産業種経営者が日々悩ませられている「人材の採用確保・定着・育成」を多岐に渡る視点から、その需要と供給に求められるポイントを『ブランディング・ターゲッティング・メッセージング』という軸を中心にその広義の解釈からより深く一歩踏み込んだ狭義のポイントで 「何となく理解はしているが、なぜか上手く発信・活用できていない現状を打破するには?」 「内部顧客・外部顧客的な概念から、その満足度をどのように高めるか?」 等を福祉業界全般・法人単位で目指す採用力と定着力に特化した内容であり、自法人・施設・事業所で活用する手法のアドバイスなどもあり、ただ取り組めばいいのでなく冷静に『人材』の意義を考えさせられる講演であり、講演時に使用していたスライドと同様の配布資料は、各人が内部で共有しやすい資料でした。

【講演2】

「どんなマイナスもプラスに変える五感経営 ~地域と自然と共生する永続企業を目指して~」

石坂産業株式会社
代表取締役 石坂 典子 氏

石坂様の産業廃棄物処理やリサイクル・再生事業を担う立場の苦悩や葛藤から環境問題への提言転換、創造性や発信力は圧巻の講演でした。
現在では『リユース、リサイクル』という価値観や『もったいない』という精神も市民権を得ている時代だが、キツイ・汚い・危険など様々なマイナスイメージがいまだ拭えない産業の『過去~現在~未来』は日常において我々が想像することのなかったビジョンであり、またその世界を知る良い機会となりました。 講演の中でのキワードだけ抜粋いたしますが
●情熱・使命感・責任感
●継続する事の難しさ
●サービスの転換・拡大・縮小
●問題解決への抜本的改革
●経営理念の周知・共感
等とまだまだ沢山ありましたが、我々のような福祉サービスの一環として地域貢献・共生をはじめとする人々に役立ち・愛される事業者であるために常日頃から心がけているモノに必要不可欠なエッセンスが多分に盛り込まれた講演でした。

【講演3】

「渋沢栄一に学ぶ福祉のこころ」

渋沢史料館
館長 井上 潤 氏

2024年に新1万円の肖像となる渋沢栄一の生涯を通じ、その独特の学問享受や資本主義の礎の形成、教育・文化の整備が今では当たり前とも思われる価値観を時代・文化・慣習も異なる時代から発信していた思考の創造性や柔軟性は我々が社会的・公益的な福祉サービスを提供する者として学び考えさせられる講義でした。
殊に近代福祉の慈善事業から社会事業へと発展していく中での功績は目を見張るものがあり、渋沢栄一という人物・人格の柔軟な発想やリーダーとしての在るべきビジョンは現代社会福祉に限らずと多くの産業種に通ずる内容でした。
近代資本主義の基礎といわれる『合本資本主義』は、経済的リターンと同時に社会的価値を求める『社会的インパクト投資』に近しい事であり、現在は中小企業支援分野などで取り組まれている『コラボ産学官』や社会福祉法人の各業種の垣根をこえた公益・広域・地域的参画や交流等その構図、価値観の確立に多大に影響を与えたのだと感じました。
本総会・研修では、人材の確保・育成は事業を継続するうえで必要不可欠であり、各社風・理念に沿った舵取りを求められる経営者・管理者がいかに重責を担っているかを改めて考える時間を福祉の次世代を担う方々と共有できました。 また、社会福祉法人経営者協議会は保育・障碍・高齢に関わる事業者が集える数少ない団体であり、サービス種や地域特性は異なれど、福祉に従事する様々な方々と意見を交換することで他業種を知り学び、自己研鑽にもつながる二日間でした。

社会福祉法人 徳栄会
髙根 完