研修報告

令和5年度 第3回 青年部会研修会
『チームの力を引き出す 心理的安全性の構築』セミナー

【期日】
令和6年3月4日(月)13時30分~15時30分
【場所】
千葉県社会福祉センター 2階 研修室A・B
【講師】
社会福祉法人経営者協議会 東京都経営青年会 会長
社会福祉法人三祉会 深大寺保育園
園長 田中 賢介 氏

 今回の研修は心理的安全性の構築を学び、職場で業務の効率化、創造性、効果的なチームワークを促進させ、組織全体の健全な発展につながることを目指した内容で30名の参加者が集まりました。  講師の田中氏は、平成25年に深大寺保育園の園長になり、強い組織を作ることに力を入れてこられたそうです。全国青年会の組織人材マネジメント委員会において心理的安全性について研究され、その事例について福岡県の大会で発表されています。

 「心理的安全性」とは、組織のマネジメント方法の一つで「素直な意見、素朴な質問、違和感の指摘がいつでも誰でも気兼ねなく言えること」であり、ミスをすると怒られるという状況では情報が共有されにくくなりますが、心理的安全性があるとミスを共有して、そこから改善案を皆で考えることが出来ます。そして心理的安全性が高まると「イノベーションやプロセス改善が起きやすい」「意思決定の質向上」「情報・知識が共有されやすくなる」「チームの学習が促進される」などの四つの利点が挙げられるそうです。

 当時園で抱えていた課題に対して、田中氏は下記の内容に取り組まれたそうです。
・年功序列によるリーダー配置を廃止
・リーダー層の意識改革
・超過勤務時間削減に向けた取り組み
・休憩時間取得を徹底
・有給休暇取得率を向上
・園庭の遊具などを職員が考えて作る、遊具庭園プロジェクト
・地域住民との交流を促進

 これらの取り組みの成果として、人事評価において管理職クラス等級になる職員が増え、離職率の低下につながった。職員が業務にやりがいや誇りを持ち、一人一人が自分の考えに自信を持ち、発信をするようになり、意見交換が活発になるなど変化が見られた。また、地域の方との交流により、地域における保育園の価値が非常に高まり、保育園への感謝の言葉をもらう様になったなどがあったそうです。

 全国青年会の組織人材マネジメント委員会の主催するセミナーで「心理的安全性」というのは対人で作るものではなく、組織における意見を表明しやすい言いたい事が言える雰囲気のことで “心理的安全性を作るぞ!”と皆に言ったところでできるものではない。作り方は組織それぞれに違って当然であり、何をすればそれが高まるという正解はない。また、別のセミナーでは組織のトップが覚悟しなければできない。どの様なタイプの人間ができるというのではなく、トップの心理的安全性を高めるという覚悟が必要だなど、他のセミナーで参考となったお話なども教えていただきました。

 最後に田中氏から「私がやってきたことは、おそらく皆さんもやっていることで特別な事は何一つありません。どうしてできたのかと言うと、やはり一つ一つどうしたら若手が輝けるか?を考えながら取り組んできた結果が心理的安全性の向上につながったのではないか」というお話があり、講師の人となりがうかがえる、心理的安全性を構築した具体的なお話であり、とても参考になる研修会となりました。

社会福祉法人創明会
星 雅也