組織の雰囲気を変え、チームでケアを行うことの重要性と、ケアの質を向上させるための組織マネジメントのスキルと知識を学ぶことを目的として、和洋女子大学の矢藤誠慈郎教授を講師として招聘し、ご講義いただきました。矢藤教授は多くの具体的な事例を交えて説明してくださり、とても分かりやすく参考になる研修会となりました。
リーダーとしてどんな振る舞いが大切なのか?失敗したらレポートを提出させるのか?失敗した状況を一緒に考えるのか?リーダーが不機嫌になることで組織の雰囲気も変わってしまうなど、チェックリストでリーダーとしての行動を振り返り、その振る舞いや態度がチーム全体に与える影響について学びました。
リーダーの役割として、責務を明示し、法令の遵守を周知すること、支援の質向上に意欲を持ち十分な指導力を発揮すること、専門性を向上させるために必要な環境を確保することなどがあります。その中でも、常に質を高める取り組みをしている施設では虐待などが起こらず、その取り組みがリスク管理にもつながるという話や、リーダーだけが悩むのではなく、チームで意見を出し合い、当事者意識を持ってもらうといった話なども大変参考になりました。
また、教育・支援の質向上の考え方と方法について、組織全体の質を向上させるためには、基本姿勢に沿った教育・研修計画を策定し、具体的な取り組みを行う。チームで学び合う環境を重視し、職員が自己研鑽できる場を確保する。定期的に評価と見直しを行い、研修の成果をチェックしながら改善を図る。スーパービジョンの体制を確立し、職員が一人で抱え込まず、施設全体で問題に対応できる体制を整える。日々の実践を通じて個人と施設が共に育っていく。困った職員をどう改善させようかとアプローチをしがちだが、皆が少しずつ成長すれば、施設全体の質が高まる。日常的に学び合う環境をリーダーは確保する。前向きなマインドセット、小さな変化や課題等への共通理解や行動性を高め、主体的に学び合う施設と環境が重要で職場内での研修の充実が図られなければならない。楽しくなんでも意見を言える、誰もが安心して意見を言える場を作る。ポジティブな面に目を向ける。正しい知識を持ち、実際に行動を変えて試行錯誤することで質を向上させる。やみくもに試すのではなく、方針などを基にして行動を計画し、職員の共通言語とする。負荷を少なくしつつ、継続するための工夫をする。チーム全体が社会に役立っている感覚を持ち、集団的効力感を高める。完成形を目指すより変化に開かれた組織にする。時間がないからと研修をしないのではなく、短時間でも工夫して学び続けることが重要。できない理由を探すより、少しでも進める。100%を求めるのではなく、小さな改善を積み重ねる。これらのアプローチを実践することで、支援の質を向上させることができる。日々の取り組みや具体的な事例を挙げながら説明をしていただきました。
人材育成の考え方と方法について、不当な支配とはどういうものなのか、相手の意見や感情を無視して、一方的に自分の意志を押し付けることで、このような支配の延長には暴力が存在し、権力を利用して他者を支配しようとする際に暴力が発生することがあります。職員を理解するためのアプローチとして、謙虚な問いかけや一方的な会話を避けることが重要である。相手の意見や考えを尊重し、話しやすい雰囲気を作ることで、信頼関係を築くことができると学びました。同僚性へのリーダーシップでは、笑顔や頷きなど対話のための約束事を定めたりすることで、チーム全体が同じ方向を見て力を出し合う組織を作る。さらに、労務管理の重要性では、ワークライフバランスの尊重が職員のモチベーション向上につながる。安心して休みが取れる環境や、チーム全体で支え合う文化の構築が質の向上に寄与することを理解しました。
今回の研修会を通じて得た学びを、日常の業務に取り入れ、継続的に質を高める取り組みを進めていきたいと思います。研修後のアンケートには「とても有意義な時間を過ごせた」「矢藤先生の講義は分かりやすく、また違った内容の話も聞きたい」といった意見も出ており、参加者から大変好評な研修会となりました。
社会福祉法人創明会
星 雅也